現在の私たちは情報化社会の中で毎日の生活を送っています。ラジオ放送やテレビ放送は、日々のニュースを報道したり、生活に役立つ耳よりな情報を伝えたりしてくれます。また、現在ではインターネットの普及率も非常に高いものとなっており、かつては図書館で調べたり電話で問い合わせたりしていた情報も家庭やオフィスで簡単に入手できます。しかし、放送技術やインターネット技術が世の中に登場する以前には、多くの人々は新聞などの印刷物を通して情報を入手していました。

出版物による情報伝達を可能にしたのが、15世紀半ばにドイツで発明された印刷機です。初期の新聞は、今のように数ページでは構成されておらず、一枚の紙面にニュースなどが掲載される形式でした。日本の江戸時代に売られていた「かわら版」のような体裁です。人々はこうした新聞により、正確な情報をより早く入手できるようになりました。

とはいえ、その発行部数には限りがあり、値段も高かったので、買う余裕があったのは裕福な人だけでした。その後、19世紀末には、印刷機の一層の進歩に伴い、日刊紙が大量に発行されるようになります。これにより、ニュース伝達の経路は爆発的に増大しました。それがとりわけ顕著だったのはヨーロッパや北アメリカなどの国々です。

しかし、新聞の登場は、支配者階級に危機感を抱かせました。例えば、17世紀のフランスでは、新聞は国王の承認を得てから発行され、掲載される内容もほとんどが政府により決められました。現在の民主主義国家では報道の自由が保障されており、そのような圧力をかける政治家は数々の批判を受けることになります。